やまとかるた 第二版
プレイ人数:2〜人 / プレイ時間:15〜分 / 対象年齢:7歳〜 / デザイン・イラスト・DTP:縁(m:design)
【さくら札】
『春』がモチーフの【さくら】には、『蝶々』を追加しました。蝶のシルエットが昇っていく様子を描いています。『春』は気温が上がって植物の新芽も出てくるので、『上昇』を表現できたらな~と思ってこうなりました。
背景和柄『霞-かすみ-』
霞は春の季語であり、風にたなびく霞の様子を描き出した模様です。柔らかなシルエットが暖かくなりつつある気候を表しています。
『夏』がモチーフの【はなび】に追加したモチーフは『金魚と波紋』、こちらは方向こそは上を向いてますが、『停滞』というか『回遊』というか、夏の気怠い感じがほのかに漂う、その場所に留まっている雰囲気で作りました。
背景和柄『青海波-せいがいは-』
波を表した幾何学模様で、大海原の穏やかな波のように穏やかな暮らしがいつまでも続くようにという願いが込められているようです。
【はなび札】
『秋』がモチーフの【もみじ】には『すすきと蜻蛉』を追加しました。左方向にとんぼが飛んでいますが、すすきは反対方向になびいている。とんぼは向かい風の中を飛び、厳しい冬に向かっていく様子を描いています。
背景和柄『籠目-かごのめ-』
竹籠の網目を模様化したもので、星形は邪を払う力があるとされていて、星型が連続しているように見えることから、『魔除け』の文様とされているようです。
【もみじ札】
『冬』がモチーフの【ゆき】に追加したのは『地吹雪と雪の結晶』、秋から吹いてきた風が冷気を纏って地面に積もった雪を巻き上げていく様子と、雪が降り積もる様を描いてます。下方向にモチーフが集まってる感じです。
ちなみに、追加モチーフのアイデアが最後まで決まらなかったのが、この【ゆき札】でした。私の中で『冬=雪』で凝り固まってて、他のモチーフが思いつかず、地吹雪と雪の結晶に落ち着きました…。
背景和柄『市松模様』
世界中で見られるチェック模様ですが、日本では歌舞伎役者が衣装に用いたことから、その役者にちなんで市松模様と呼ばれ流行ったようです。
【ゆき札】
季節ごとに色を分けたのは、従来のトランプが基本的にツートーンで構成されているので、差別化の意味もあってスートごとに色を分けてあります。
『やまとかるた』のスートは強さ(優位性)を持っています。 さくら(春)>はなび(夏)>もみじ(秋)>ゆき(冬)の順です。簡単に言うと、同じ【壱】札なら、さくら(春)が一番強く、ゆき(冬)が一番弱い事になります。これは日本の春が『始まりの季節』となっていることにちなんでいます。
※必ずしも『やまとかるた』のスートの優位性を導入して遊ぶ必要はないですが、この特性を活かして遊ぶとまた違ったテイストになって面白いかもしれません。因みにスートの強さを従来のトランプと同じにする場合は、
ゆき(冬)>もみじ(秋)>はなび(夏)>さくら(春)となります。
【松】【竹】【梅】だけ「白枠」?
『やまとかるた』における絵札【松・竹・梅】(K・Q・J)は『花鳥風月』の風景イラストになっています。
初版の時は、イラストに色枠をつけるとイラストが目立たない、と言う理由で『白枠』にしていました。が、ある日、姪っ子ちゃんズと七ならべをしている時に、全ての札を並べてみて、【松】【竹】【梅】の札だけ『白枠』になっていることに『もやっ』としたものを感じて、気になっていたんです。
違和感と言うか統一性のなさを感じたんでしょうね。(デザインやってるときに気付けって話ではあるんですけども……)
そこで、第二版では数字札と同じ『色枠』にして『一揃い』と感じられるようにしました。
イラストの印象がボケるかな…と思いましたが、問題なかったので『色枠』に落ち着きました。
全ての札を『白枠』にすることも考えましたが、それでは普通のトランプと変わらないし、なによりも初版版と印象が変わってしまうという事で『色枠』のままにしました。
『やまとかるた』の絵札の風景イラストは、スートごとに『花(さくら札)』、『鳥(はなび札)』、
『風(もみじ札)』、『月(ゆき札)』と、『花鳥風月』がモチーフになっています。
絵柄札(J・Q・K)のランクは、日本ではお馴染みの『松竹梅』で置き換えています。
元々『松竹梅』に順位はなかったようですが、今では『松』が最上級となっていますね。
『やまとかるた』においてもトランプ同様に、基本的に最上位は【壱(Ace)】ですが、ゲームによってはその限りではありません。
ジョーカーは『傾奇者』
トランプにおいて、最強の切り札にもなる『JOKER』は、『やまとかるた』では、“傾奇者”になっています。
初版作成時になんとなく雰囲気が似てる、というだけで早い段階で『傾奇者』に置き換えが決まっていたのですが、改めてその意味を調べると、
“異風を好み、派手な身なり、常識を逸脱した行動をする者たち”
となっていて、『JOKER』にぴったりだな! と、思ってちょっとほっとしたのを覚えています。
また、『傾奇者』という言葉は、日本の伝統芸能『歌舞伎』の語源ともいわれていて、そこから、イラストは歌舞伎に欠かせない『隈取』を、トランプのスートを使って描いています。
姪っ子が最初怖がったんですけど、まぁ、得体の知れない者、って点では、ちょっと怖いくらいが良いかなと…。私も幼少の頃は、家にあったトランプのJokerのイラスト怖かったしなぁ…。
『やまとかるた』的ライフサイクル?
『やまとかるた(二版)』の顔である、パッケージ。第二版は印象はあまり変えずに、でも作り手としては大きく変えたデザインとなっています。
初版版は春夏と秋冬が上下に分かれてるデザインだったのですが、新しい第二版のは春夏秋冬がつながる…というか、よっつのスートが『輪(和)』を描いてるものにしました。
やまとかるた的ライフサークル? あ、サイクル?? …みたいな? 季節は『循環』してるし。
まぁ、『生命』ではなく『季節』なんだけども。でも、なにかのドラマで人生を四季に例えた台詞もあったし…。要は『廻る』様子を表現したかったんです。
ただ、スートの分け方を初版のまま上下で春夏、秋冬にしたので、季節が巡ってないんですよね…(-_-;)
さくらから時計回りにさくら→はなび→ゆき(…あっ!)→もみじになってる…。
それに気づいた時にはパッケージシールを生産数分出力した後…。修正するにも時間も出力紙も無い。次、再版することがあったらその時にこっそり修正しておこうかと思っています。
最期に、パッケージの仕様についてのこぼれ話。
『やまとかるた』は和テイストのトランプなので、雰囲気を和風にするために、外箱は『和紙を使いたい』と思ったのだけど、そもそも和紙印刷は小ロットに対応してない、しかも高い…。
でも、絶対『和紙』を使いたい!(これは譲れないッ!!)
で、苦肉の策で『和紙シールにプリンターで印刷、既製品の箱に手で貼る』と言うお手製仕様に…。
このため、一度に製造できる数が少ないのです。これは『初版』も同様で各色50個なので貴重なのですよ~。
最後に、なぜ『かるた』?
現在のトランプが日本にやってきたのは明治の頃、それ以前の16世紀に伝来したポルトガル・スートタイプはポルトガル語で「carta」と呼ばれていたそうです。日本でもそのまま『かるた』と呼んでいたことにちなんで、日本の古称である『大和(やまと)』を加えて、『やまとかるた』としました。